ユーロ/円相場は、2月1日の126.97円をピークに、足元では124円台中盤での取引になっている。ユーロ圏の実体経済に対する信認回復と「アベノミクス」に伴う円売り圧力が継続される中、ユーロ/円相場は昨年4月15日以来の高値を更新した。ただ、ここにきて改めてスペイン政局リスクを蒸し返す動きが活発化したことで、足元ではやや調整圧力が強くなっている。
スペインでは、ラホイ首相の不正資金受領問題が浮上している。ラホイ首相はこの疑惑を否定しているが、野党幹部は「ラホイ首相は辞任し、スペインが必要としている安定と信頼、強さを回復できる後任に道を譲るべきだ」と発言するなど、最悪の場合には総選挙に発展しかねないスキャンダルに発展している。ラホイ首相は強力な緊縮財政を進めてきたが、今後の政局次第ではユーロリスクが再びクローズアップされかねない状況になっている。実際、スペイン10年債利回りは7週間ぶりの高値となる5.406%に達しており、つられて他の重債務国国債利回りも急伸している。2月24~25日にはイタリア総選挙が控えていることもあり、ユーロリスクを積極的に取りづらい状況になっている。これでユーロ高・円安トレンドに終止符が打たれたとは考えていないが、最悪の場合はイタリアの総選挙まで政局リスクがユーロ高に修正を迫る可能性もある。少なくともスペイン政局の先行き不透明感が払拭されるまでは、ユーロ買いポジションは利食い売りを進め、中立スタンスとすべきだろう。
円サイドでは、15~16日の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を控え、海外からの円安けん制発言が警戒される。ただ、麻生財務相は、「デフレからの早期脱却が目的で、(通貨)切り下げとの批判は全く当たらない」との反論を行う方針を鮮明にしており、円安圧力の払拭は容易なことではない。リーマンショック前は100円台だったとの指摘も多く聞かれる状況にある中、欧州債務懸念の払拭が進めば、改めてユーロ高・円安圧力が強まる見通し。
今後1週間の予想レンジは、122.00~125.00円。